全国版: 朝日新聞 平成10年10月5日 月曜日 (夕刊)
ガラクタは 「お宝」の山

R‐フィールド氏
  • 吹田市
  • 彫刻家
  イノシシの頭がい骨、便用ずみタオル、スーパーの袋。それらが、流本やさびた鉄パイブ

を組み合わせた構造材の上に配置されている。いわば、廃棄物で作ったクリスマス・ツリー。

  凡俗の目にはガラクタの山でしかない。

在日十年、英国人の彫刻家リチャード・フィールド一氏(47)のアトリエ風景だ。

ガラクタ素材の位置をあれこれ変えてイメージを喚起し、四方八方からスケッチする。

見せてもらってあっと驚く。

尊敬するセザンヌ、カンデインスキー、ロダンを融合すれば確かにこんな世界になるのだろう。

イメージを明確にして初めて粘土で造形にかかる。完成品は樹脂製。

新作が今夏、姫路市美術展の彫塑部門で市長賞を受けた。

見る人ごとに自由な連想が働く流動する生命体である。パリの美術学校で学んだ。

  夫人は縄文のイメージ画で知られる安芸単穂子さん(40)。

 「芸術とは、見ること、見ること、見ること」。

かんだ鼻紙のしわしわに美を見、山では動物の白骨に魅せられる。

安芸の宮島でじっと空を見つめていた。神社でも? と思った早穂子さんに黙って指さしたのは、

電柱にわっと交錯する電線だった。

  粗大ゴミ収集の朝は忙しい。名作の素材、「お宝」の山が呼んでいる。(木村勲)


				
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