子供の頃からなんとなく長距離の電車に乗るのはうれしかった。しかも引っ越しが多かったし、田舎に帰るたびにローカル線に揺られてたから、乗る回数はかなり多かったと思う。記憶にある最初の旅っていうのは、電車ではなく汽車(ディーゼル)で、青い車体でガタゴトと…時間はかかるけれども、なんだかのどかで楽しい、そんな列車の旅が楽しみで。しかし電車の揺れには弱くてすっかり酔ってしまい、景色を楽しむなんて余裕もないことも多かったっけ…。
大学生の頃は金がないのもあって、長い休みになるたびに青春18きっぷのバラ売りを大学生協で買い(当時はそんなこともやってたのだ)、京都から広島まで普通電車を乗り継いで8時間ほどかけて帰るのですが、固いシートに座り続けるのもそんなに苦痛ではなかった。途中の駅の待ち時間に何を食べるか必死になって考えたりして。
その後、広島で会社勤めをしていた頃、帰り道の広島駅で自分が乗る電車を待っている時、よく隣のホームに寝台列車「あさかぜ」が入線してくるのを眺めていました。寝台車かぁー、一度は乗ってみたいなぁと、ビールとおつまみを携えたおじさんやスーツケースを持った旅行風な人々が乗り込むのをうらやましく思ったりして。結局寝台車に乗る夢(?)がかなったのは、去年の春になってからでしたが。
よしかわさんが取り上げていた「女子と鉄道」がどうにも気になってしょうがなかったので、買って読み始めたのですが、これがもうズバズバと当てはまる感じでもうダメ(いい意味で)。「電車で寝てしまうのは音や空間が母の胎内に似ているからだ」なんて主張されてるのを読んで「なるほどー、新幹線よりも在来線(っていう表現を使うのが鉄ちゃんぽいと言われるのですが、そうかなぁ…)でよく眠れるのは、そのせいか!」と妙に納得したりして。
旅に出る時、観光するよりも乗り物に乗る事のほうが主題になってたって、おかしくないんですよ。そうそう、去年仙台に行った時も、仙台に行って牛タンを食べることももちろん「初めてみどり色の新幹線に乗るぞ!」ということにわくわくしたのも、至極ふつうのことなのだ。
そうそうところで、この本のオビにある「茶道、華道、鉄道」ってコピーは、名作だとおもう。