江國香織の「思いわずらうことなく愉しく生きよ」を読了。
「すこやかに不穏な女たち」というオビの言葉がぴったり。タイトルの言葉は、三姉妹に与えられた父の家訓だということなのだが、いい言葉だと思う。私なんてなんかあるとすぐ思いわずらうところがありますからね。くよくよしたって、仕方ないべ、愉しく生きろというメッセージ。
三者三様に生きる三姉妹の姿を行き交いつつ、その恋人や夫や、そうでない人たちを交えてつづられる物語。平穏なようだけれども、いくつかの関係はゆるやかに崩壊に向かって走り出しているのが、後半に向かって加速していく…という感じ。三人は同じ場面に直面してもそれぞれ別の行動をとるのだが、それぞれ少しずつ共感できるようでもあるし、どれも自分とは違うなとも感じるし、不思議な感覚である。江國香織の書く女性というのはみなそんな風に感じるところもあるのだけれど。
ただし、元が女性誌の連載だったということで、すこし中途半端な所で話が切られている印象も。こういう女性誌の連載の小説ってなぜか読むのが苦手で。おそらく続けて買わないので話がしりきれとんぼになるのがいやなんだろうと思っていたのですが、こうやって読んでみると、話のながれるペースが自分に合わなかったのかも。